長尺物を安全に持ち上げる玉掛けは? 適切な方法と注意点を解説

公開日:2023/09/29

長尺物を保管・管理する倉庫では、長尺物をクレーンで持ち上げ移動させなければなりません。移動させた後は、格納して、荷繰りをし、配替えなどの作業を必要とします。しかし、適切な方法で玉掛けをしないと、クレーンで持ち上げた際にバランスが崩れる、または、偏荷重でワイヤロープが切れるなど、荷物を落下させる危険性もあるのです。今回は、長尺物の適切な玉掛の方法と注意点を解説します。

玉掛けとは?

クレーンで重量のある荷物を持ち上げるときにフックをかける、下ろすときにフックを外す作業を「玉掛け」といいます。玉を掛けると書いて、「たまがけ」と読みますが、資格を所有していなければ作業を行えない業務になります。玉掛けの作業をする際は、持ち上げたときの角度は適切か、バランスは崩れていないかなど、気を配るべきことが数多くあるものです。したがって、安全に作業するためには、玉掛けに関する正しい知識と技術を必要とします。

玉掛けの方法

クレーンの玉掛けの方法は、「フックに掛ける方法」と「つり荷に掛ける方法」があります。有資格者は、荷物の種類や重さや形に合わせて、最適な玉掛の方法を選ばなければならなりません。

フックに掛ける方法

フックに荷物を縛った紐をかける方法には、目掛け、半掛け、あだ巻き掛け、肩掛けがありますが、この中でも、使用頻度の高いものは目掛けだといえるでしょう。

目掛け

目掛けでフックに掛ける方法は、安全性も高く、現場でよく使われているものです。ただし、左右非対称の荷物には適していません。ワイヤロープを1本使用する「1本づり」といいますが、ワイヤロープの数が増えるとそれに伴い「2本づり」と表現するようになります。

半掛け

ワイヤロープのアイをフックに掛けない方法が半掛けです。目掛けと同じく、使用するワイヤロープの本数に合わせて「1本づり」「2本づり」などと表現します。つり手のある荷物や定型の荷物に適していますが、重心が中央にない、重心の位置が高いような荷物だと荷振れによってワイヤロープが滑り、荷物が落下する恐れもあるのです。

あだ巻き掛け

フックにワイヤロープを1回転して巻き付ける方法をあだ巻き掛けといいます。フックにワイヤロープを巻き付けていない点が、半掛けとは異なるのです。この方法では、半掛けの短所であるワイヤロープの滑りを防げるものの、半面、ワイヤロープに癖が付くという短所があり、玉掛け後、ワイヤロープを修正するひと手間がかかることは覚えておいたほうがいいでしょう。

肩掛け

肩掛けはフックの肩にワイヤロープを巻き付ける方法です。使用するワイヤロープは基本的には1本。この方法では、あだ巻き掛けのワイヤロープに癖が付くという短所を防げるものの、ワイヤロープが重なった時、重複した箇所が擦れて荷物が落下する危険性があります。

荷物に掛ける方法

フックに結んだ紐を荷物にかける方法には、目掛け、半駆け、目通し、あだ巻き掛けがあげられます。特に、単純で扱いやすいのは半掛けです。

目掛け

目掛けは荷物のつり手にワイヤロープのアイを掛ける方法であり、扱いやすいので現場でも重宝されています。しかし、片寄せてあるなど、バランスの取りにくい荷物は、ワイヤロープの緩んだとき落下する怖れもあるうえ、フックに掛ける方法が半掛けだと、より危険が増すことは、常々、意識しなければいけません。

半掛け

荷物を掛ける方法で最も単純な半掛けは、ワイヤロープを荷物に回して掛ける方法です。扱いやすい反面、釣り角度が大きいと不安定になり、荷物が滑りやすくなるという短所を持ち合わせています。

目通し

玉掛け用ワイヤロープ側のアイに、反対側のアイ、もしくは折り返した部分を通し(目通し)、荷物を絞って掛ける方法を目通しといいます。この目通しには、深絞りと浅絞りの2種類がありますが、いずれも荷物をひとくくりにできるため、長尺物にも適しているものです。しかし、絞り込んだ箇所のワイヤロープが痛み、強度が落ちるという危険性もあるので、適切なタイミングで新品に交換する必要があることは、あらかじめ認識しておく必要があるでしょう。

あだ巻き掛け

荷物にワイヤロープを1回転して巻き付ける方法をあだ巻き掛けといいます。この方法は滑りを防止できる半面、ワイヤロープの癖が付き、玉掛け後、ワイヤロープを修正するひと手間がかかるという短所もあるものです。

行ううえでの注意点

玉掛けを行う上での注意点として、長尺物では特にバランスに注意する必要があります。長さがあるため、吊るし上げたとき、左右が非対称になったり、大きく振れたり、吊り荷が不安定になりやすいため、荷物を掛けるときにはあだ巻き掛けを選ぶなど、適切な方法を選択することで、ワイヤロープの損傷や緩みで荷物が滑り落ちる危険性も低減できます。また、長尺物に限った話ではないが、つり角度が極端に大きくなると玉掛け用ワイヤロープのアイが外れてしまうため、つり角度を60度以内に保つことも重要です。

まとめ

長尺物は長さがあり、バランスを取りながら吊るし上げなければいけません。荷物の滑り落ちなどの危険を回避することは、有資格者の責任でもあるのです。玉掛けには、フックに掛ける方法と荷物に掛ける方法があります。荷物に合わせて適切に選ぶことで、現場の安全を確保できます。

参照記事:天井クレーンにはどんな種類がある? 倉庫や工場で活躍するクレーンの定義や種類を解説

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