重量物の吊り上げ方法とは?安全な作業手順と最適な用具・機械の選び方

公開日:2026/01/26

工場や建設現場における重量物の吊り上げ作業は、一歩間違えれば重大な人身事故や高価な荷物の破損を招く、極めてリスクの高い工程です。

「どの吊り具が最適か」「法規制を遵守できているか」といった判断は、現場の安全と信頼を左右する重要な分岐点となります。

本記事では、安全で確実な作業を実現するために必要な基本知識から専門的な知見までを詳しく解説します。

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重量物の吊り上げ方法とは?基本と重要性

重量物の吊り上げは、人力やフォークリフトでは運搬が困難な荷物を、安全かつ効率的に移動させるために不可欠な技術です。この作業の定義と、なぜ安全確保が現場の成功を支えるのかについて解説します。

重量物の吊り上げ方法とは

重量物の吊り上げ方法とは、クレーン・チェーンブロックなどの揚重機と、ワイヤーロープ・チェーンスリング・スリンGベルト・ハッカーなどの玉掛け用具を用いて、荷を安全に吊る・移動する・据え付けるための一連の手順を指します。

本体重量や長尺物かどうか、重心や吊り点の強度を事前に確認し、吊り点数やスリングの角度を決めたうえで、取り付けから地切り・試し吊り、本吊り、設置へと順序立てて作業を進めることが基本です。

スムーズな作業につながる安全確保の重要性

安全確保が徹底されている現場ほど、トラブルによる中断が少なく、結果的に作業はスムーズに進みます。

荷重と定格荷重の確認や有資格者の配置、吊り具点検、立入禁止と合図体制の徹底といった基本を守ることで、ヒヤリ・ハットを未然に防ぎ、生産性の高い現場運営につながります。

重量物吊り上げに関わる法規制と必要な資格

重量物の吊り上げは、主にクレーン等のつり上げ荷重・種類に応じた資格取得が義務付けられています。

ここでは、作業に必須となる玉掛けやクレーンの資格について見ていきます。

玉掛け作業の資格

玉掛け作業を行うには、労働安全衛生法に基づき「玉掛け技能講習」を修了し資格を取得する必要があります。

これはクレーン等で1トン以上の荷を扱う際に必須となる資格であり、荷のバランスや適切な吊り具の選定方法、安全な作業手順を習得することが目的です。

クレーンの運転免許を所持していても、玉掛け作業の資格がなければフックへの掛け外し作業はできません。

クレーン・揚重機の運転資格

揚重機の運転資格は、機種や定格荷重に応じ免許・技能講習・特別教育に区分されます。代表例に移動式クレーン運転士免許や床上操作式クレーン運転技能講習があります。5t以上の機種には原則免許が必要です。

ホイスト式等でも荷重により技能講習が必須なため、機材導入時の資格確認は欠かせません。また、かにクレーンや門型リフター等の特殊機種では、取扱説明書に基づく安全教育を併施することで誤操作を防ぎ、より安定した吊り上げ作業を実現できます。

吊り荷と現場環境に合わせた用具・設備の選定

重量物の吊り上げでは「どの現場で・どんな荷を・どう動かすか」に合わせて、スリングやクレーンなどの用具・設備を最適に組み合わせることが、安全性と作業効率の両方を左右します。

ここでは、スリングの種類や環境に応じた設備の選び方を具体的に解説します。

最適なスリングの選択|ワイヤー・チェーン、・ベルト・ハッカー

現場では、強度、耐久性、柔軟性のバランスを見極め、状況に応じて以下の吊り具を適切に使い分けることが求められます。

吊り具の種類特徴最適な活用シーン
ワイヤーロープ強度が高く、重量物吊り上げの最も標準的な道具一般的な建設資材や重量物の運搬全般
チェーンスリング耐久性に優れ、高温環境や鋭利な角にも強い過酷な現場環境や、長寿命な吊り具を求める場合
スリングベルト軽量で柔軟。荷の表面を傷つけにくい性質を持つ塗装製品、精密機器、木材などのデリケートな荷
ハッカー吊りピースのない板状の荷を端から掴める専用具鋼板やHHH長尺型鋼・厚板等、平らな資材の効率的な吊り上げ

材質や表面のデリケートさ、形状を考慮せずに吊り具を選んでしまうと、荷が滑落したり、吊り具によって荷を傷つけてしまったりする恐れがあります。

環境別の機械選定| かにクレーン・門型リフター・天井クレーンの活用

揚重機の選定においては、設置場所の広さや天井高、床の耐荷重といった現場の物理的な制約を最優先に以下の機械を配置することを考慮しましょう。

機械の種類特徴最適な活用シーン
かにクレーンコンパクトで脚が広がるため、狭所や不整地でも安定屋内の狭いスペースや、クレーン車が入れない場所
門型リフター門型フレームに油圧ジャッキを備え、垂直昇降に特化天井が低くクレーンが使えない場所での大型機搬入
天井クレーン建屋の梁を利用して走行、床面を占有せず移動が可能工場や倉庫内での恒常的な重量物移動

現場レイアウトや将来の運用を踏まえて固定設備か、仮設機かを検討することも重要です。

特殊な移動技法|けんか吊り・チルクライマー

クレーンが直接届かない場所や、複雑な障害物を回避しながら荷を移動させる必要がある現場では、特殊な移動技法や牽引機材の活用が不可欠です。

現場の難易度に応じて採用される、代表的な工法と機材の特徴は以下の通りです。

技法・機材名特徴最適な活用シーン
けんか吊り複数のチェーンブロックで荷を交互に支えて水平移動階段、狭い通路、クレーンが進入できない屋内
チルクライマーワイヤーをエンドレスに送り込める軽量な牽引機長距離の水平牽引、高揚程、レイアウトが複雑な現場

通常の機械的な吊り上げだけでは対応困難なレイアウトであっても、熟練の技術や専用の牽引装置を組み合わせることで、安全を維持したまま目的の場所まで運搬できます。

安全な重量物吊り上げ方法の3ステップ

吊り上げ作業の事故防止には、手順の遵守が不可欠です。基本の3ステップを徹底し、安全と効率を両立させる具体的な作業フローを解説します。

荷の確認と計画・取り付け

重量物を吊り上げる作業の第一歩は、重量・重心・形状を正確に把握し、無理のない計画を立てることです。

本体寸法や吊り点の強度を確認し、必要なスリングの本数や能力、吊り角度、揚重機の選定を行います。事前に吊り図や搬入経路、障害物を整理しておくことで、現場での迷いや手戻りを最小限に抑えられます。

取り付け時はスリングのねじれやフックの安全ロックを一点ずつ確認し、玉掛け作業資格者の指示のもとで進めることが重要です。

地切り・試し吊りと安全な運搬

荷を高く上げる前に、数センチ浮かせて静止させる「地切り」と「試し吊り」で状態を確認します。

この段階で重心の偏りやスリングの張力、吊り具の変形をチェックし、不備があれば即座に下ろして修正することが落下防止の鉄則です。運搬中は荷の下への立入禁止を徹底し、振れを抑える低速走行と旋回を心がけます。

必要に応じてガイドロープを使用し、安全な速度と経路を維持しながら目的地まで慎重に搬送しましょう。

設置と最終点検

目的地では荷の揺れが収まるのを待ち、ジャッキやスライドシューを併用して静かに所定位置へ据え付けます。ボルト穴の位置や芯出しを確認し、荷が自立して転倒の恐れがないことを確かめてからスリングを取り外してください。

作業終了後は、使用した吊り具に素線切れやキンク、摩耗がないか最終点検を行います。異常があれば直ちに廃棄・交換の処置をとり、次回の作業における事故リスクを未然に防ぐことが大切です。

失敗しないための注意点とメンテナンス

事前・事後のメンテナンスと適切な補助機器を組み合わせることで、現場の安全性と作業品質を安定して維持できるので、具体的に解説していきます。

けんか吊り時のアンカー強度確認

けんか吊りでは、チェーンブロックを固定するアンカーの強度確認が重要です。

アンカーや固定先の構造体が荷重に耐えられないと、抜けや破損による落下事故の危険があるためです。

また、チェーンブロック同士の角度が大きくなるほど各アンカーにかかる力が増えるため、できるだけ吊り角度を小さく抑え、無理な引き合いにならない配置とすることが安全確保のポイントです。

吊り具・設備の日常点検と年次点検

クレーンや吊り具の安全性を維持するためには、作業前にはワイヤーロープの素線切れや変形、フックの亀裂、ブレーキの作動状況を必ず確認し、異常があれば直ちに使用を中止する必要があります。

また、一定規模以上のクレーンについては、年1回の定期自主検査と記録3年間保存が義務付けられています

微調整に便利なエアー式ジャッキ

エアー式ジャッキは、据え付け時の高さ調整や隙間づくりを安全かつ効率的に行える便利なツールです。 薄型・軽量の本体に圧縮空気を送り込んで持ち上げるため、手動油圧ジャッキが入らないような狭いクリアランスにも挿入しやすく、数ミリ〜数センチ単位の微妙なレベル調整に向いています。

荷を広い面で支える構造のため設置物や床面を傷めにくく、チルクライマーやけんか吊りと組み合わせれば、重量機器の芯出しや最終調整をスムーズに行え、作業者の負担軽減と安全性向上に役立ちます。

まとめ

重量物の吊り上げ作業を安全かつ円滑に進めるためには、適切な機材の選定、有資格者による手順の遵守、そして日々のメンテナンスが不可欠です。

本記事で解説したスリングの選び方や、地切りを含む3ステップの手順を現場で徹底することは、大切な荷物の保護のみならず、作業者の安全と企業の信頼を守ることに直結します。

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