物流を効率化する方法とは?関連法案や必要性も併せてご紹介

公開日:2025/09/19

物流はさまざまなビジネスにおける重要インフラの一つであり、物流なくしてはあらゆるビジネスが成り立たないとも言えます。しかし一方で、物流業界の人手不足や負担増加などが深刻化し、物流業務における効率化が重要視されていることも事実です。そこで、本記事では物流を効率化する方法についてご紹介します。物流効率化の関連法案や、物流効率化がなぜ必要なのかも併せてご紹介しますので、ぜひご一読ください。

物流効率化はなぜ必要?

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そもそも、物流効率化が必要とされているのはなぜなのでしょうか。その背景には、3つのポイントが挙げられます。

ドライバーの高齢化、人材不足

物流業界の大きな課題は、ドライバーの高齢化と若年層不足です。経済産業省・国土交通省・農林水産省がまとめた「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」(2022年)によれば、トラックドライバーの年齢構成は40~54歳が45.2%、15~29歳の若年層が10.1%、65歳以上が9.5%となっています。

上記のデータを見ると、40〜50代以上が中心で、若年層の割合が低水準となっていることがわかります。少子高齢化の影響に加え、長時間労働や低賃金のイメージが強いことも人材確保を難しくしており、人手不足を補う効率化が急務です。

参照:「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」

EC市場の成長による配達増加

物流業界は人手不足の反面、需要そのものは増加しています。その一端を担うのがEC市場の成長です。ネットショッピングの普及で個人宅への小口配送が増え、より多くの人手が必要になりました。しかし、大手ECモールなどでは送料無料など配送にかかる費用を減らすことを目玉にうたっていることも多く、配送業者への負担が増加する原因の一つになっています。

個人宅への配送では、休日や夜間の稼働になることも少なくありません。安いコストでたくさんの荷物を運ばなくてはならなくなったことで、ドライバーの負担は増える一方、賃金が上がりにくいことから、人材が余計に集まりにくくなってしまっているのです。そこで、業務効率化による負担軽減が求められています。

積載率の低さと再配達の増加

前述のEC市場成長とも関連しますが、個人宅への配送では輸送する荷物が少なくてもトラックを運行しなくてはならなくなり、積載率が低くなることも多いです。積載率が低くなると、人件費や燃料費などのコストパフォーマンスが低くなります。実際に、多くのトラックが積載可能容量の半分程度しか載せていない状態で稼働していると言われています。

こうした現状は、物流にスピード感が求められてしまうことに起因します。効率より速さが求められ、時間通りに運び届けることが最優先となってしまうのです。また、荷物を運んだ際に受取人がおらず、再配達しなくてはならない場合は、更に人件費・燃料費もかかります。どうしてもネットショッピングではこうした事例が多く、実際の配送件数を超える負担がドライバーへかかっています。そこで、業務効率化を行う事により、こうした非効率的な状態の改善が必要です。

国土交通省による「物流総合効率化法」とは

国土交通省は2005年に「物流総合効率化法」を施行し、2016年には事業者間連携を促す改正を行いました。

さらに2025年の改正では、荷主・物流事業者の新たな義務や努力義務、特定荷主・事業者の指定、中長期計画の策定、安全性強化、商慣習の是正 といった項目が盛り込まれています。

従来の「モーダルシフト・共同配送・輸送網集約」といった効率化施策に加え、環境対応・物流DX・災害時のレジリエンス強化 を一体的に進める法律へと発展しました。

荷主・物流事業者への新たな義務

2025年改正では、荷主と物流事業者に対し「荷待ち時間の短縮」「積載率向上」「再配達削減」などの取り組みが努力義務として課されました。国はその実施状況を把握し、公表できる仕組みを導入しています。

従来は任意の取り組みに委ねられていた効率化が、法律上の義務・努力義務として明確化された点が大きな変更点です。これにより、業界全体で効率化に向けた取り組みが加速することが期待されています。

特定荷主・特定事業者制度の導入

年間一定規模以上の貨物を取り扱う荷主や物流事業者は「特定荷主」「特定事業者」として指定され、中長期的な物流効率化計画の策定・提出が義務付けられました。

計画には、荷待ち削減や積載率改善の目標が盛り込まれ、未達や不十分な場合には勧告や公表の対象となります。これにより、大口荷主を中心に効率化を主導する責任が明確化され、取引構造の是正にもつながります。

安全性・取引透明性の強化

改正では安全性確保の観点も強化されています。特に軽トラック事業者には、安全管理者の選任義務や事故報告の徹底が課されました。

また、運送契約においては書面交付義務が新設され、実運送体制管理簿の作成・保存も義務化されています。これにより、従来曖昧だった取引慣行が見直され、透明性とコンプライアンスの徹底が図られています。効率化だけでなく、安全で公正な物流体制の構築が法律の柱となりました。

なお、改正物流二法については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてチェックしてみてください。

【関連記事】改正物流二法とは?改正の背景や物流事業者がとるべき対応策も解説

その他、物流業務を効率化する手法3つ

その他に物流業務を効率化する方法について、ここでは3つの手法をご紹介します。

現場作業の見直し

現場の作業フローを見直し、非効率な工程を削減することで効率化する方法もあります。マニュアル化された業務であっても、手順を改めて振り返ってみると無駄が生じていることもあるでしょう。本当に必要な作業なのかどうか考える視点が重要です。

効率的にピッキングするため倉庫のレイアウトを見直し、動線を最適化したり、倉庫内におけるロケーション管理を徹底し、どこに何があるかわかりやすくしたりしておくことも効果的です。このように、動線を最小限に最適化することを「間締め」と言いますが、この考え方が重要です。

IT技術の活用、DX化

WMS(倉庫管理システム)などのIT技術を導入し、DX化によって業務改革、根本的な効率化をはかるのもよいでしょう。例えば、ハンディスキャナと連動したシステムを使えば、商品コードをスキャンするだけでピッキングでき、各商品の状態もリアルタイムに反映されるため、在庫管理の負担を大幅に軽減できます。

また、トラックに積む荷物の組み合わせや配送ルートを自動で最適化してくれるシステムもあり、トラック輸送の無駄を削減するのに役立ちます。AIを活用した配車管理システムを使えば、アルゴリズムに基づいて配送先までの距離や倉庫内の車両状況、積載率、ドライバーの稼働時間などを考慮しながら配送ルートを作成してもらえるでしょう。

近年導入され始めているのが、ドローンによる物流業務の効率化です。特に、小口配送の場合に燃料費や人件費を削減できる手段として注目されています。

宅配ボックス

個人向けの小口宅配を効率化する手段として、宅配ボックスの利用も進んでいます。宅配ボックスに配達することで、再配達によるドライバーの負担を軽減し、燃料費や人件費のコストを削減できるほか、輸送で生じる二酸化炭素の軽減にもつながります。人への負担も自然への負担も減らせるでしょう。

物流効率化を支える最新技術とは?

では、これからの時代、物流の効率化を図る鍵となる技術について解説していきます。

自動運転トラック・ロボット配送

深刻化する人手不足に対応するため、自動運転トラックや配送ロボットの実証実験が進められています。高速道路での隊列走行や限定区域内での自動運転配送はすでに一部で実用化されており、長距離輸送やラストワンマイルの効率化に期待できるでしょう。

完全自動化には法規制や技術的課題が残るものの、省人化による労働力不足の補填や輸送コスト削減の効果は大きいと考えられます。こうした技術を早期に取り入れる企業は、将来の競争優位性を確立できる可能性があります。

AI・IoTを活用した需要予測と在庫管理

AIやIoT技術を活用することで、需要予測や在庫管理の高度化が進んでいます。具体的に挙げられるのは、過去の販売データや季節変動、天候情報などをAIで分析し、最適な在庫量を自動で算出するシステムの登場です。

これにより、欠品や過剰在庫のリスクを軽減し、効率的な物流オペレーションが可能になります。さらにIoTセンサーを用いたリアルタイムな在庫監視は、物流拠点間のスムーズな連携を実現し、配送の無駄を削減するのに役立ちます。データ活用は今後の物流効率化の中心的な要素といえるでしょう。

スマート物流拠点(ロジスティクスセンター)

最新技術を取り入れたスマート物流拠点の整備も加速しています。自動倉庫や搬送ロボットを活用することで、入出荷やピッキング効率の大幅な改善が期待できるでしょう。

また、デジタルツイン技術によって物流センター内の作業状況を仮想空間で再現し、最適な運用方法をシミュレーションできる事例も増えています。こうしたスマート拠点は、人材不足への対応だけでなく、災害時のリスク分散やBCP対策としても有効です。物流効率化は拠点設計そのものから見直す時代に突入しているといえるでしょう。

まとめ

物流業界において、ドライバーの高齢化や人手不足が深刻化している反面、EC市場の成長や再配達の増加などにより、いっそう物流の需要は増えています。そこで、人手不足などの課題を解消するとともに増え続ける需要に対応する方法として、物流業務の効率化が必要なのです。国土交通省の「物流総合効率化法」では、連携による業務効率化には支援を行うことも盛り込まれています。

ウチダフレイトでは、複数のEC事業者さまから在庫管理など物流アウトソーシングを請け負うことで、共同配送や輸送網の集約に貢献することが可能です。物流におけるコスト軽減や負担軽減に関心がある方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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