改正物流二法とは?改正の背景や物流事業者がとるべき対応策も解説

公開日:2025/04/30
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2025年4月1日をもって、改正物流二法が施行されました。今回の改正では、物流業界における業務の効率化、持続可能性の改善を目的として規制の強化、努力義務の追加といった法改正が実施されています。では、物流二法の改正にあたって、物流事業者や関連事業者がとるべき対応はどうなるのでしょうか。本記事では、改正物流二法の概要や改正に至った背景、物流事業者・関連事業者がとるべき対応策について解説していきます。

改正物流二法とは?

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改正物流二法とは、2025年4月1日に改正法案が施行された物流に関する2つの法律です。

物流に関する2つの法律とは、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物資の流通の効率化に関する法律)」、並びに「貨物自動運送事業法」の2つです。これら物流二法の改正法案は2024年4月26日に成立、同年の5月15日に公布されました。そして前述したように、2025年4月1日、改正物流二法が施行されたという流れになります。 物流二法の改正内容は物流業界、業界関係者へ大きな影響を及ぼすとされており、注目を集めています。

物流二法改正のポイントとは?

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本項では、「物資の流通の効率化に関する法律」、「貨物自動運送事業法」、改正物流二法のポイントについて解説していきます。

ポイント①物流効率化を目指して取り組むべき措置の努力義務化

物流効率化に向けて、取り組むべき以下の努力義務が追加されています。

1:1度の運送における貨物量を増やすため、配送共同化、輸送網の集約(物流事業者)

2:物流事業者の効率化を助ける各種措置(荷主)

3:荷待ち時間の短縮化をはじめとした措置(連鎖化事業者)

物流業務を効率化するためには、物流事業者だけに留まらず、荷主、連鎖化事業者の取り組みも必要不可欠です。

なお、上記の努力義務が実際に行われているか、策定された判断基準のもと、対象となる荷主、物流事業者の取り組みが確認されます。

ポイント②特定事業者に対する規制の強化

今回の法改正により、年9万トン以上、貨物を扱っている荷主は、2026年度より「特定荷主」に指定されます。特定事業者に指定された荷主、および物流事業者は、物流統括管理者(CLO)を選任し、物流効率化に向けた中長期計画を策定しなければなりません。

また、各種改善施策の実施状況については、定期報告書を作成し、国に提出する必要があります。上記の定期報告書にもとづき下された評価は公表が予定されています。

ポイント③トラック事業者の取引に関する規制

貨物自動車運送事業法の改正によって、トラック事業者の取引において、以下の規制が追加されました。

・運用業務を下請事業者に依頼する際、実運送体制管理簿を作成

・運送契約締結時、業務内容、附帯業務、燃料サーチャージといった事項を記載した書面の交付

・元請事業者に対し下請け発注の改善に向けた措置の実施を求める

なお、特定の規模を超える元請事業者に対して、下請け発注の健全化措置について規定を作成し、実施状況を管理する運送利用管理者を選任することが義務付けられています。

ポイント③軽トラック事業者の取引に関する規制

貨物自動車運送事業法の改正に伴い、軽トラック事業者には、貨物自動車安全管理者の選任とその届出が義務化されました。なお、貨物自動車安全管理者はトラック運送の事故予防を目的としています。

軽トラック事業者は選任した貨物自動車安全管理者に対し、法令に関する知識をはじめとした定期講習の受講も義務付けられています。また、万が一事故が発生した場合、国道交通省への報告も定められました。

物流二法が改正された背景とは?

では、何故物流二法は改正されたのでしょうか。本項では、物流二法改正が施行された背景について解説していきます。

時間外労働規制に伴う物流効率化の必要性

今回改正物流二法が施行された背景には、自動車運転業務従事者に2024年4月から課された時間外労働の上限規制が理由の一つに挙げられます。

上記規制の適用により、物流の中核を担うトラックドライバーの稼働時間は短縮、結果として、トラックを使用した輸送能力低下が懸案事項となっています。

トラックドライバーの時間外労働規制を遵守しつつ、その影響を最小限に抑えるためには、物流業務全体を効率化していくことが不可欠です。つまり、短い時間の中で、どれだけ多くの貨物の輸送を行えるかというのが焦点になります。

物流業務の効率化には、物流事業者、そして発荷主・着荷主の取り組みが欠かせません。このような背景から、物流二法の改正へと至っています。

運送業における多重下請構造の是正

物流二法改正の背景には、運送業界における多重下請構造の問題も関わっています。長らく運送業界では多重下請構造をとっていましたが、これにより以下を始めとして多くの問題が生じていました。

・下請運送業の長時間労働
・下請事業者の低運賃
・問題発生時の責任の所在

上記の問題を是正するためには、多重下請構造の是正が不可欠です。そのため、トラック事業者の取引に対して規制をかける改正物流二法が施行された背景があります。

物流二法改正に事業者がとるべき対応策とは?

では、物流二法の改正に伴い、物流事業者や関連事業者は実際にどのような対応策を求められているのでしょうか。本項でポイント別に解説していきます。

積載率を向上させる

前述したように、今後の物流業界においては一度の運送にできるだけ多くの貨物を乗せていく必要があります。その実現のために、トラックの積載率向上は欠かせません。

トラックの積載率を上げるための具体策として、運行管理システムの活用や、共同配送といった施策が挙げられます。運行管理システムではトラックの積載率をはじめとしたリアルタイムのデータを取得できるため、荷物の集約などの効率化が期待できるでしょう。 一方で共同配送は配送物を一台のトラックにまとめることができるため、積載率向上に繋がります。

荷待ち時間を短縮する

物流効率化を図るうえで、ドライバーの荷待ち時間短縮は不可欠といえます。荷待ち時間によってドライバーを拘束することで、業務効率低下の一因となってしまうためです。

荷待ち時間短縮のためにトラック事業者はさまざまな取り組みを行っていく必要がありますが、その一環としてトラック予約受付システムの活用などが挙げられます。システムの活用によってトラックの到着時刻を把握できるため、時間の無駄を省いた荷物の積み下ろしに繋がります。

荷役時間を短縮する

荷役時間の短縮も物流効率化においては重要な対応策の一つに挙げられます。具体的にはパレタイズ輸送や荷物の積み降ろし業務の改善といったものが挙げられるでしょう。

荷役時間を短縮することにより、荷待ち時間の短縮といった効果も期待できます。荷待ち・荷役に関しては並行して改善施策を実施する必要があるでしょう。

まとめ

本記事では、改正物流二法の概要や改正に至った背景、物流事業者・関連事業者がとるべき対応策について解説しました。改正物流二法の施行を契機として、物流事業者及び初荷主・着荷主含めたサプライチェーン全体での「物流業務の効率化」「業務全体の見直し・環境改善」といった側面で現行の業務体制を見直し、改善に努めていく必要があります。本記事で解説した内容をもとに、物流二法の改正に対してどのように対応していくか検討してみてはいかがでしょうか。

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