物流品質とは?品質管理が重要な理由や品質アップのためのポイント

公開日:2023/02/24

品質管理というと、第一次産業や第二次産業において使われるイメージが多い単語です。しかし、第三次産業であるサービス業においても、サービスの質を保つための努力は必要です。そのために、品質という考え方と、品質を保つための管理という概念が求められます。本記事では、物流における品質とは何か、物流における品質管理が重要な理由、品質向上のためのポイントについて解説します。

物流における「品質」とは

物流における品質とは、物流サービスや荷役作業・輸送等の質のことを表します。すなわち、品質が高ければサービス水準が高い、品質が低ければサービス水準が低いということになるでしょう。品質が高ければ業務はスムーズに、かつスピーディに進行しますが、品質が低いと作業ミスや事故が起こり、業務がスムーズに進まなくなったり、遅れやストップが発生したりしてしまいます。

物流の品質は、大きく分けて以下の7つの項目からなると言えます。

1.納期(指定の日時を遵守する)
2.取扱品の品質の維持(保管環境・賞味期限管理や変形・変質しない、汚破損がないなど)
3.正確性(品物や量、配送先を間違えない)
4.事故防止(安全管理の徹底)
5.環境貢献(二酸化炭素削減、ゴミをできるだけ出さない、など)
6.印象(ドライバー、カスタマーセンターのマナーの順守、など)
7.その他(問い合わせへの回答、さまざまな報告など)

1〜3は、最もわかりやすい物流品質と言えます。顧客にとって目に見えやすいのもこのポイントです。一方で、4〜7は直接的に物流の価値を決めるものではありませんが、1〜3の物流品質を高める上で重要な付随する品質と考えられます。

物流品質の指標

物流の品質を表す単位としてPPM(パーツパーミリオン)という単位があります。これは、誤出荷やクレームが出荷オーダー100万件あたり何件発生したかを表す数値で、20PPMなら100万件の出荷オーダーに対して20件の誤出荷やクレームなどのエラーが起こった、ということになります。一般的な流通の指標は50〜100PPMと言われており、完全自動化しても10PPMが限界と言われています。

PPMの計算式は、以下の通りです。
■エラーの発生件数÷作業件数×100万

物流品質管理が重要な理由

前述のように、物流品質とは物流サービスの水準の高さを表します。物流におけるサービスとは、ミスや事故をできる限り減らし、スムーズに間違いなく荷物を荷主(発荷主)から受け取り手(着荷主)へ届けることです。誤出荷、破損などのミスや事故が多いと、それだけ信頼を失うことにも、リカバリーのためのコストが増大することにもつながってしまいます。

理想を言えばミスや事故をゼロ件にすることが目標ですが、そのためには莫大なコストがかかります。そもそも、PPMの章でも触れたように、完全自動化しても10PPM未満にはまず引き下げられないとされています。そこで、コストとの兼ね合いを考慮しながら、その中で効率的・効果的に物流の品質管理を行うことで、ミスや事故を極力減らし、品質をアップしていくことが重要になるでしょう。

物流品質チェックのポイント

物流品質管理においては、場所、時間、価格、量、質が保たれているかどうかチェックすることがポイントです。ここでは、物流5大機能と新たに「情報」を加えた6つの機能について、それぞれ品質管理のチェックポイントを解説します。

輸送

輸送機材、荷物固定(ラッシング)の方法などを適切に選定する必要があります。例えば以下のようなチェックポイントがあります。

  • 積載効率は最大か
  • 指定到着時間は守られているか
  • 輸送事故の有無
  • 誤配送は極力抑えられているか

輸送には外部要因もあり、必ずしも意図した通りに実施できるとは限りません。しかし、だからこそ品質管理を徹底し、できる限り輸送品質を確保する必要があります。

保管

倉庫や保管ラック、自動倉庫、パレット、マテハン機器などを各商品に合わせて選びます。例えば以下のようなチェックポイントがあります。

  • 在庫管理や棚卸しの精度はどうか
  • 保管費用が適切に抑えられているかどうか
  • 正しい在庫管理ができる環境かどうか

保管では、必要に応じて素早く出荷できるよう、数量と在庫の品質を保つ必要があります。そのために、入荷時に適切な入庫処理も必要です。

荷役

トラックや船などに荷物を積み下ろしするもので、物流センターで商品を入庫・出庫することも含みます。荷役では以下のようなチェックポイントがあります。

  • 荷受けやピッキング作業、検品、出荷の精度はどうか
  • 作業スピードは適切か
  • 汚破損率や生産性は適正値か

荷役では特に、時間効率や正確性が求められます。時間効率と正確性はときにトレードオフの関係でもあるため、効率的に、かつ正確に作業を行えるような品質管理が求められます。

流通加工

流通加工とは、商品に付加価値をつけるために行う加工のことです。最もわかりやすいのは小分け包装や値札付けで、商品を消費者にとどけるために欠かせない業務です。庫内で流通加工を行う場合には、専用機器を選定しなくてはなりません。品質管理のチェックポイントとしては、以下が挙げられます。

  • 作業の正確性、スピードは適切か
  • コストパフォーマンスが適切か

流通加工も荷役と同じように、作業の正確性とスピードが求められます。また、同時にコストパフォーマンスも求められるため、コストとの兼ね合いを考慮しながら正確かつスピーディに作業を行えるような品質管理が重要です。

包装(梱包)

包装(梱包)とは商品を覆い、守るための作業で、梱包資材や緩衝材の種類やサイズ、強度、形状などで品質が左右されます。そのため、以下のようなチェックポイントがあります。

  • 梱包資材は適しているか
  • 最小の資材とコストで十分な強度が保たれているか

包装では、コストをかければいくらでも強度を高めることはできます。そのため、コストを抑えて最小限の資材で十分に強度を保つことが品質管理です。品質管理のためには、適した梱包資材を選ぶことが重要です。もしこれらの品質が低下すると、輸送中に荷物が汚損してしまうリスクが生じます。事故を未然に防ぐため、十分な管理が求められます。

情報

物流の5大機能に加えて新たに加わった概念が「情報」です。配送管理システム(TMS)、運行管理システム、在庫・倉庫管理システム(WMS)などが挙げられます。導入時に以下の機能をチェックするとよいでしょう。

  • 通信速度
  • バックアップ機能
  • 作業効率
  • カスタマイズ性

また、そもそも自社倉庫や保管商品、業務に合ったシステムかどうかも重要なポイントです。システムごとにさまざまな製品が出ているため、導入の際はよく検討することで品質向上に寄与できます。

まとめ

物流における品質とはサービスの水準のことを指し、品質が高ければ業務はスムーズに、かつスピーディに進行します。一方で、品質が低いと作業ミスや事故が起こり、業務がスムーズに進まなくなったり、遅れやストップが発生したりしてしまうでしょう。そのため、今回ご紹介したような物流の5大機能を中心とした品質管理の考え方が重要です。

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