長尺物を運搬するときの危険性と気を付けたいポイントは?長尺台車とトラックのケースを解説

公開日:2023/08/30

長尺物を長尺台車で運搬したりトラックで輸送したりするとき、10メートルを超える細長い運搬物、積載物となるため、人や物に接触する危険がつきものです。では、どうすれば長尺物を安全に運べるのでしょうか。今回は、長尺台車とトラックのケースに分けて解説します。

そもそも長尺物とは?

物流業界や運輸業界では数メートル~10メートルを超える板材や棒材を「長尺物(ちょうじゃくぶつ)」と呼びます。物流倉庫内での運搬やトラックなどでの輸送時、その長さと形状ゆえ、長尺物本体である板材や棒材はもちろん、周囲の人や物に損傷を与えないよう、注意をしなければいけません。

長尺物の運搬時の危険性【台車】

長尺物を運搬するときは、原則として長尺台車を使用します。名前のとおり、長尺物を運搬するための専用の台車です。さらに、長尺台車も大型や小型といったサイズから形状まで様々なので、運搬する長尺物に合わせたものを選びたいところ。

しかし、長尺台車で長尺物を運搬していても危険がなくなるわけではありません。どのような危険があるのか確認しておきましょう。

長尺台車や長尺物の接触

長尺台車に長尺物を載せていると、長さを把握しきれず、曲がり角での内輪差の認識を誤り、人や物に接触することもあります。特に、視界におさまらない後部はぶつけやすいので要注意です。人にぶつかれば、当然、ケガをすることがあります。また、物にぶつかれば物を損壊することもあります。

さらに、物にぶつかったとき、積まれているものを崩せば、人が下敷きとなる人身事故等、想像以上の被害につながりかねません。

長尺台車の転倒

長尺台車で長尺物を運搬していると、重心も安定しにくいため、曲がり角や坂道でバランスを崩して転倒しやすくなります。

長尺物の輸送時の危険性【トラック】

長尺物をトラックの積荷に固縛して輸送するときには、思わぬ大きな事故にもつながりかねない危険性をはらんでいます。また、公道においては道路交通法に違反する可能性があることも頭に入れておきましょう。

トラックの荷台からのはみ出し

長尺物でも、特に4m以上の長いものは、トラックの荷台に水平に積んでも、斜めに積んでも、はみ出しやすいものです。また、軽トラックでは地面から2.5m以上の高さになるため、道路交通法の違反になるだけでなく、電線等に接触して大事故になりかねません。

しかしながら、水平に積んでトラックの荷台からはみ出せば、車や人に接触する危険性もあるため、注意が必要です。

トラックの場合は道路交通法に違反することも

長尺物をトラックの荷台に積載して運搬しているとき、荷台から長尺物を落下させると、道路交通法第71条の4号「転落等防止措置義務違反」に違反することがあります。

転落等防止措置義務違反の内容を簡単にまとめると、貨物の積載を行うような車両を運行する場合には、積載しているモノの落下、飛散防止対策を行わないといけないというもの。同時に、車に積載しているモノがもし道路に落下したり、飛散した場合には速やかに落下したモノを積み直したり、飛散物を除去して二次災害の防止措置を講じなければならないという記載もあります。

長尺物をトラックの荷台に積載して輸送するときは、きちんと固縛する義務と万が一転落させたときには、二次被害を防ぐための行動が求められます。

長尺物の運搬時に気を付けること【台車】

長尺物を長尺台車で運搬するときの注意点を説明します。倉庫や工場で長尺物を運搬するときに意識してください。

台車の耐える荷重を厳守する

台車には、耐荷重が定められていますが、規定以上の荷物を載せてしまうと、台車に大きな負担がかかり、制御しきれずに転倒しやすくなります。特に、長尺物を載せると重さの比重が不安定になり、転倒しやすくなります。そのため、決められた耐荷重は厳守しなければいけません。

重量のあるものは一番下、押手側に載せる

複数の荷物を載せるときは、重い物は一番下、そして押手側に載せるようにしましょう。重い物を一番上に置くと、バランスがとれなくなり、前方に置くと台車が浮いて転倒する可能性があります。また、円形状の長尺物など、転がりやすいものや倒れやすいものを台車に載せるときは、ロープやベルトで固定するなどの工夫と技術も必要です。

曲がり角では一時停止する

人や物にぶつかりやすい曲がり角では、一時停止し、状況を確認してから進むようにしましょう。また、曲がるときには、内輪差を考慮して、内側ではなく外側を大きく曲がるようにするのがポイントです。

内側を曲がってしまうと、台車の側面や長尺物の端部を壁などにぶつけかねません。また、狭い通路を運搬することが多い場合には、内輪差の少ない台車を選ぶのもコツといえるでしょう。

ストッパーをかける

荷物の積み下ろしをする際には、必ず車輪にストッパー(輪止め)をかけましょう。ストッパーをかけずにそのまま作業をしてしまうと、作業中に台車が勝手に動き、転倒してしまう可能性があるためです。

長尺物の輸送時に気を付けること【トラック】

トラックの荷台に長尺物を積載して運搬するときは、確実に固縛しないと滑り落ちたり、崩れたりすることも。場合によっては大事故にもつながりかねません。ここで、トラックの荷台に長尺物を積載して運搬するときの注意点をまとめます。

重量のある積荷の下に積む

運転のしやすさと荷物の横滑りを防止するには、重心が下になれば積荷が安定しやすくなることから、重量のある積荷から順番に積んでいくのがポイントです。重心が安定し、積荷が滑らなくなれば、長尺物が落ちることも防げます。

荷台に隙間をつくらない

走行中のトラックは揺れやすく、荷台に積まれている積荷も道路の状態(凹凸があるなど)や設計(カーブなど)の影響を受け、上下左右に揺られることになります。直線の道路であっても、走行による振動があり、隙間があると少しずつずれていきます。

積荷のずれを防止するためには、荷物と荷物の間には隙間を作らず「ひとかたまり」にするのがポイントです。

確実に固縛する

特に、滑り落ちやすい長尺物は確実に固縛しなければいけません。簡単で強固に固縛できる運送結び、大型の積荷を固縛しやすい南京結びなど、複数の固縛方法を使い分けることで確実に固定できます。また、ロープや網で固定する方法に加えて、キャリアを使うとより安定するでしょう。

まとめ


長尺物を長尺台車で運搬したりトラックの積荷に固縛して輸送するときは、人や物に接触したり、積荷から長尺物が滑り落ちたり、電線に接触したりすることもあり得るので、運搬前の積み込みや固縛、運搬時の台車の押し方、トラックの運転の仕方にも気を付けたいものです。台車にしてもトラックにしても振動が大きければ、それだけ荷崩れを起こしやすくなるため、日々、無理のない安全な走行を心がけましょう。

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